- iOS 14以降、プライバシー保護強化として「ローカルネットワークアクセス許可」が導入され、テレビやプリンターなどとiPhoneの連携には明示的な許可設定が必要になった
- ローカルネットワーク設定は「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「ローカルネットワーク」で管理でき、アプリごとに許可/拒否の切り替えが可能
- 許可判断の基準として、信頼できる開発元のアプリや機能必須のアプリ(テレビリモコン、プリンター、スマート家電アプリなど)は許可し、不明なアプリや使用目的が不明確なアプリは慎重に判断すべき
「iPhoneでローカルネットワークの設定ができない」「許可してもデバイスが見つからない」「ローカルネットワークって何?」― こんな悩みを抱えていませんか?
iOS 14以降、Appleはプライバシー保護強化の一環として「ローカルネットワークアクセス許可」の仕組みを導入しました。これにより、テレビやプリンター、スマート家電などとiPhoneの連携において、新たな設定が必要になっています。
本記事では、iPhoneのローカルネットワーク設定について、基本知識から具体的な設定方法、トラブルシューティングまで徹底解説します。設定に悩むあなたの問題を解決する情報が必ず見つかるはずです。


ローカルネットワークの基本知識と役割
ローカルネットワークとは、自宅や会社など限られた場所で使用されるネットワークのことです。一般的に同じWi-Fiルーターに接続された機器同士が形成するネットワークを指します。
基本概念を理解しよう
ローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)は、同じルーターを介して接続された複数のデバイス間でデータをやり取りするための仕組みです。外部のインターネットとは異なり、ローカルネットワークは限定された範囲内でのみ機能します。
家庭内では、同じWi-Fiに接続されたスマートフォン、パソコン、テレビ、プリンター、スマート家電などがローカルネットワークを形成しています。これらのデバイスは互いに「検索」や「接続」を行い、データの送受信や操作などを実現します。
iOSにおけるローカルネットワークの重要性
iOS 14以降、Appleはプライバシー保護の強化として、アプリがローカルネットワーク上のデバイスにアクセスする際にユーザーの許可を求める仕組みを導入しました。これにより、アプリがローカルネットワーク上の他のデバイスと通信する前に、ユーザーの明示的な許可が必要になりました。
ローカルネットワークへのアクセスが必要なケースとしては、テレビやBDレコーダーをiPhoneから操作する、スマート家電をコントロールする、プリンターで印刷する、Chromecastなどでスマホの画面や動画をテレビに映す、同一ネットワーク上のゲーム対戦を行うなどがあります。このようなデバイス間の連携が、ローカルネットワークを通じて行われているのです。
設定場所とアクセス許可の方法
iPhoneのローカルネットワーク設定は、iOS 14以降で追加された比較的新しい機能です。設定場所と許可方法を正確に理解しておくことで、スムーズなデバイス連携が可能になります。
設定メニューの場所を確認
iOSバージョンによって設定メニューの場所が若干異なりますので、お使いのiOSバージョンに合わせて確認してください。
iOS 15以降の場合:
ホーム画面から「設定」アプリを開き、下にスクロールして「プライバシーとセキュリティ」をタップします。さらに下にスクロールして「ローカルネットワーク」をタップすると、ローカルネットワークへのアクセスを許可したいアプリの一覧が表示されます。
iOS 14の場合:
ホーム画面から「設定」アプリを開き、下にスクロールして「プライバシー」をタップします。その後「ローカルネットワーク」をタップすると、アプリ一覧が表示されます。
また、アプリごとの設定からもローカルネットワークへのアクセス許可を確認・変更できる場合があります。「設定」アプリを開き、下にスクロールしてアプリの一覧から対象のアプリをタップした後、アクセス許可の一覧に「ローカルネットワーク」の項目がある場合は、スイッチをオン/オフで切り替えることができます。
効果的な許可方法の手順
ローカルネットワークへのアクセスを許可する方法は主に2つあります。アプリの初回起動時に表示されるダイアログでの許可と、設定アプリからの事後的な許可です。
アプリ初回起動時の許可:
アプリをインストールして初めて起動すると、「”〇〇(アプリ名)”がローカルネットワーク上のデバイスの検索および接続を求めています」というダイアログが表示されることがあります。この機能が必要な場合は「OK」または「許可」をタップしましょう。必要ない場合や不明な場合は「許可しない」をタップしても、後から変更可能です。
設定アプリからの許可:
最初に「許可しない」を選択した場合や、ダイアログが表示されなかった場合は、前述の「設定」メニューから後から許可することができます。許可したいアプリを見つけて、横のスイッチをオン(緑色)にするだけです。
トラブルシューティング:設定と接続の問題解決
iPhoneのローカルネットワーク設定には、時として問題が発生することがあります。ここでは主要な問題と効果的な解決方法を解説します。
「設定が出てこない」場合の対処法
「ローカルネットワーク」の設定項目が見つからない、または特定のアプリが一覧に表示されないといった問題が発生することがあります。
- iOSバージョンの確認と更新
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ローカルネットワークの設定はiOS 14以降の機能です。古いiOSバージョンを使用している場合、この項目は表示されません。「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」からiOSを最新版にアップデートしましょう。
- 基本的なトラブルシューティング
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端末の再起動でも問題が解決することがあります。また、「設定」アプリの検索バーに「ローカルネットワーク」と入力して関連する設定項目を探してみることも有効です。
- アプリ関連の対処法
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対象のアプリをいったん削除し、App Storeから再インストールしてみましょう。ただし、iOS 14以降の一部のバージョンでは、アプリを再インストールしてもローカルネットワークの許可設定がリセットされない不具合が報告されています。ネットワーク設定のリセット(「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「リセット」→「ネットワーク設定をリセット」)も試してみる価値がありますが、保存されているWi-Fiパスワードなども削除されるため注意が必要です。
「許可してもデバイスが見つからない」場合の解決方法
ローカルネットワークへのアクセスを許可したにもかかわらず、アプリが他のデバイスを検出できない、または接続できないことがあります。
- ネットワーク接続の確認
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もっとも基本的なことですが、iPhoneと接続したいデバイス(テレビ、プリンターなど)が同じWi-Fiネットワークに接続されていることを確認してください。iPhoneで「設定」→「Wi-Fi」を開き、現在接続中のネットワーク名を確認し、接続したいデバイスも同じネットワーク名に接続されているか確認しましょう。
- デバイス状態のチェック
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接続したいデバイスの電源が入っていて、スリープ状態になっていないこと、Wi-Fi(またはイーサネット)が正常に接続されていること、デバイス側のネットワーク設定で外部からの接続を許可する設定がオンになっていることを確認します。
- ネットワーク環境の再構築
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アプリを完全に終了してから再起動する、Wi-Fiルーターなどのネットワーク機器を再起動する(電源を切って30秒ほど待ってから電源を入れ直す)、iPhoneのネットワーク設定をリセットするなどの方法を試してみましょう。
- 特殊なネットワーク環境の考慮
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企業や学校のネットワーク、一部の高度なホームネットワーク設定では、ファイアウォールや分離機能によってデバイス間の通信がブロックされていることがあります。ネットワーク管理者に確認するか、ファイアウォール設定を見直してみましょう。
アプリ別の許可判断とメリット・デメリット
ローカルネットワークへのアクセス許可には、便利さとリスクの両面があります。アプリの種類や用途に応じて適切に判断することが重要です。
アプリ種類別の許可判断ポイント
アプリの種類によって、ローカルネットワークへのアクセス許可の必要性や重要度が異なります。
- 動画・音楽ストリーミングアプリ
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YouTube、Netflix、Amazon Prime Video、Spotifyなどのアプリでは、テレビやスピーカーなどにコンテンツをキャストする場合に許可が必要です。基本的な視聴だけなら許可は不要の場合が多いですが、Chromecastなどのデバイスと連携する場合には必須となります。
- スマートホームアプリ
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Google Home、Apple Home、Amazon Alexaなどのアプリは、スマート家電や照明、サーモスタットなどを制御するために、ほとんどの場合ローカルネットワークへのアクセス許可が必要です。セキュリティのため、公式アプリのみ使用することをおすすめします。
- テレビ・レコーダー関連アプリ
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各メーカーのリモコンアプリやレコーダー連携アプリでは、テレビやレコーダーをスマホからリモコン操作したり、録画番組をiPhoneで視聴したりするために許可が必須となることが多いです。パナソニックなどのメーカーアプリでは、許可しないと「テレビやブルーレイディスクレコーダーなどが表示されない」「宅内での録画番組視聴や転送ができない」などの制限があります。
- プリンター関連アプリ
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Canon PRINT、HP Smartなどのアプリでは、Wi-Fi接続のプリンターで印刷したり、スキャン機能を使ったりするために許可が必須です。ただし、AirPrintは別システムのため、許可しなくても基本的な印刷は可能な場合もあります。
ローカルネットワーク許可のメリットとデメリット
ローカルネットワークへのアクセスを許可することのメリットとデメリットを理解し、適切に判断しましょう。
特に信頼性の低いアプリ、アクセスの必要性が不明確なアプリ、公共のWi-Fi環境での使用、重要なデータを扱うデバイスが同じネットワークにある場合には、許可を慎重に判断すべきです。
よくある質問
iPhoneのローカルネットワーク設定に関する疑問や質問に回答します。
利用料金とプライバシーの疑問
設定と使用に関する疑問

まとめ:効果的なローカルネットワーク設定のポイント
iOS 14以降で導入されたローカルネットワークアクセス許可は、プライバシー保護とデバイス間連携の両立を目指した機能です。この記事のポイントを整理しておきましょう。
- ローカルネットワークの基本
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ローカルネットワークとは同じWi-Fiに接続された機器間の通信を可能にする仕組みです。iOSでは、アプリがこの機能を使用する際にユーザーの許可が必要になっています。
- 設定場所と許可方法
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「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「ローカルネットワーク」で管理できます。アプリ初回起動時のダイアログか、後から設定メニューで変更可能です。
- トラブルシューティング
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設定が表示されない場合や、許可してもデバイスが見つからない場合は、iOSのバージョン確認、端末の再起動、同一ネットワーク接続の確認、ネットワーク機器の再起動などを試してみましょう。
- 許可の判断基準
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テレビ操作、プリンター利用、スマート家電連携などのアプリは許可が必要です。不明なアプリや公共Wi-Fi環境では慎重に判断しましょう。
ローカルネットワーク機能を適切に設定することで、iPhoneとさまざまなデバイスとのスムーズな連携が可能になります。自分のネットワーク環境やアプリの用途を考慮して、必要なアプリにのみ許可を与えるようにしましょう。セキュリティとプライバシーを守りながら、便利な機能を活用してください。