- スパム報告は即効性が低いが、蓄積でアカウント凍結につながる
- 報告とブロックを組み合わせることで効果が高まる
- ブラウザ拡張機能を使えば一括対策が可能になる
X(旧Twitter)で投稿が少しバズっただけで、意味不明なリプライが大量に湧いてくる…そんな経験ありませんか?
それらは「インプレゾンビ」と呼ばれる厄介な存在で、多くのユーザーが「報告してるのに効果ない」と感じています。この記事では、インプレゾンビ報告の本当の効果と、より効率的な対策方法を詳しく解説します。スパム報告の正しい手順から、iPhone・Androidでの具体的な消し方、英語での表現まで、実践的な情報をお届けします。

インプレゾンビ報告とは?基本を理解しよう
インプレゾンビ報告とは、X上で閲覧数(インプレッション)稼ぎを目的とした迷惑アカウントを、プラットフォームの運営に知らせる機能のこと。具体的には、対象となる投稿の「…」アイコンから「ポストを報告」を選び、「スパム」などのカテゴリを選択して送信します。
インプレゾンビの典型的な特徴には、バズった投稿に即座に無関係な返信をつける、絵文字だけのリプライ、他ユーザーのコメントをコピペする、AI生成と思われる不自然な日本語、などがあります。これらは2023年8月にXが導入した広告収益分配プログラムを悪用し、インプレッション数を増やして金銭を得ようとする行為です。
特にパキスタン、ナイジェリア、サウジアラビアなど平均月収が数千円の国では、日本円で8,000円程度のX収益でも相対的に大きな額となるため、日本語の投稿がターゲットになりやすいのです。
このグラフは、広告収益分配プログラム導入後にインプレゾンビ関連の報告件数が急増し、2024年6月頃にピークを迎えた様子を示しています。その後やや減少傾向にありますが、依然として高水準で推移しており、多くのユーザーが悩まされている状況です。
インプレゾンビ報告は意味ないって本当?効果を検証
「インプレゾンビを報告しても全然減らない」という声は確かに多いです。でも、報告が完全に無意味というわけではありません。
X運営の仕組みでは、一般ユーザーからのスパム報告が一定数蓄積すると、アカウント停止などの強制措置につながる可能性があります。ただし、個人のユーザーにとって即効性のある方法ではないのが現実です。報告から実際にアカウントが凍結されるまで、数週間から数ヶ月かかることもあります。
| 対策方法 | 即効性 | 根本的な効果 | 手間 |
|---|---|---|---|
| スパム報告のみ | 低い | 中程度 | 少ない |
| 報告+ブロック | 中程度 | 高い | やや多い |
| ブラウザ拡張機能 | 非常に高い | 中程度 | 初回のみ |
| リプライ制限設定 | 非常に高い | 中程度 | 投稿ごと |
| 検索フィルター活用 | 高い | 低い | 検索ごと |
この比較表からわかるように、スパム報告だけでは即効性が低いのが課題です。しかし、報告の蓄積によって将来的にアカウントが凍結される可能性があるため、根本的な効果は期待できます。
2024年1月23日頃には、インプレゾンビ的手法で収益を得ていた複数のアカウントから収益が一時停止されたという報告があり、運営側も何らかの対策を講じている様子が見られました。ただし、停止されたのは主にフォロワー数1000人以下の手動アカウントで、botで大量運用しているアカウントはまだ野放しという状況です。
なぜX側はインプレゾンビ対策をしないのか?
「X運営はなぜ本気で対策しないんだ!」って思いますよね。実は、いくつかの理由が絡み合っています。
まず、収益プログラムを維持したいという運営側の事情があります。広告収益分配プログラムは、クリエイターを惹きつけプラットフォームを活性化させる重要な施策です。厳しすぎる対策を行うと、真っ当な収益化を目指すユーザーまで巻き込んでしまう可能性があります。
次に、技術的な判別の難しさが挙げられます。インプレゾンビは日々進化しており、最近ではChatGPTなどのAIを使って一見まともな文章を生成するケースも増えています。こうなると、botなのか人間なのか、スパムなのか正当な投稿なのかを自動判定するのが非常に困難になります。
さらに、Xは災害や戦争に関する投稿を収益化に利用することを利用規約で禁じていますが、実際には特に対策を行っておらず、規約が守られていないと指摘されています。能登半島地震の際にも、偽の救助要請がインプレゾンビによって拡散され、現場が混乱する事態となりました。
日本政府は2024年1月6日、Xを含むSNS事業者に対して能登半島地震に関するデマや偽情報への適切な対応を要請しました。総務省の有識者会議も、SNS事業者を対象に偽情報の削除件数や監視体制などの調査を始めています。しかし、表現の自由を尊重する観点から、政府の介入には慎重で事業者の自主性に委ねるのが基本的な立場です。
インプレゾンビの具体例:こんな構文に要注意
インプレゾンビを見分けるには、その典型的なパターンを知っておくと便利です。
よく見られるインプレゾンビ構文には以下のようなものがあります。
- 「きちんとしたきれいなラインとシャープな色」など投稿内容と無関係な定型文
- 「😊」「👍」など絵文字だけの返信
- 「Smile」「Nice」など短い英単語のみ
- 他のユーザーの人気リプライをそのままコピペ
- AIが生成したと思われる、やや不自然だが一見まともな日本語
- 「それは喜ばしいことですね」などTPOを無視した返信(訃報への投稿にも平気でつける)
特に悪質なのが、能登半島地震での偽救助要請です。2024年1月1日の地震発生後、実際の救助要請をコピペしただけの虚偽投稿が30件以上確認され、合計200万回以上閲覧されました。石川県珠洲市の同じ住所を挙げた投稿のうち、半数以上がパキスタンに居住地を設定しているアカウントからでした。
また、有名人の訃報に対しても、インプレゾンビは笑顔の絵文字や「それは喜ばしいことですね」といった不謹慎なリプライを平気で送ります。これは文脈を理解せずに自動投稿しているため起こる現象です。
スパム報告の正しい手順:効果を最大化する方法
スパム報告は簡単ですが、ブロックと組み合わせることで効果が高まります。
このフローに従ってスパム報告を行うだけでなく、同時にブロックも実施することが重要です。スパム報告のみだと、そのアカウントの投稿は引き続きあなたのタイムラインに表示される可能性があります。ブロックを追加することで、少なくとも自分の目には入らなくなります。
報告とブロックをセットで行うのは手間がかかりますが、後述するブラウザ拡張機能を使えば一発で両方を実行できるため、効率が大幅に向上します。
インプレゾンビ消し方【iPhone編】
iPhoneでインプレゾンビを消すには、いくつかの方法があります。
最も基本的な方法は、Xアプリ内でのブロックとスパム報告です。前述の手順に従って、対象ポストの「…」から「ポストを報告」→「スパム」を選択し、その後ブロックを実行します。これでそのアカウントからの投稿はあなたのタイムラインから消えます。
ただし、iPhoneの場合はブラウザ拡張機能が使えないのがネックです。Chrome向けの拡張機能「x-zombie-killer」や「zombie-buster」は、iPhone標準のSafariでは動作しません。
そこで、iPhoneユーザーができる対策は以下の通りです。
- 地道にブロックとスパム報告を繰り返す
- 投稿時にリプライ制限を「フォローしているユーザー」に設定
- 検索時に位置情報フィルターを活用(後述)
- Kiwi BrowserやYandex Browserなど、拡張機能対応のサードパーティブラウザを使う
特にKiwi Browserは、Android向けですがChrome拡張機能をインストールできるため、モバイルでも本格的なインプレゾンビ対策が可能になります。ただし、公式アプリほど最適化されていないため、動作が重くなる可能性があります。
ブラウザ拡張機能で一括対策:効率が劇的に向上
PC環境でXを使っている方には、ブラウザ拡張機能が圧倒的におすすめです。
このレーダーチャートは、主要な4つの拡張機能を多角的に比較したものです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
x-zombie-killer:最も人気の高い総合対策ツール
x-zombie-killerは、10万インストールを突破した最も人気のある拡張機能です。位置情報フィルターや自動ミュートワード設定など、多機能な対策が可能です。Chrome Web Storeから正式に公開されているため、導入も簡単で安全性が高いのが特徴です。
特に優れているのが、位置情報を使った自動フィルタリング機能。日本国内からの投稿のみを表示するよう設定できるため、海外のインプレゾンビをほぼ完全にシャットアウトできます。
zombie-buster:報告+ブロックの最速ツール
zombie-busterは、ポスト横に「スパム」と「暴力」の2つのアイコンを追加し、ワンクリックで報告とブロックを同時実行できる拡張機能です。
ただし、この拡張機能はChrome Web Storeで公開されておらず、Dropbox経由での導入となります。非公式ツールのため、使用は自己責任です。導入には「デベロッパーモード」を有効にする必要があり、やや手間がかかります。
Control Panel for Twitter:カスタマイズ重視派に
Control Panel for Twitterは、Xのインターフェース全体をカスタマイズできる拡張機能で、インプレゾンビ対策も可能です。認証済アカウントを一括非表示にしたり、トレンド欄を非表示にしたりできます。
インプレゾンビ対策に特化しているわけではありませんが、X全体の使い勝手を向上させたい方には最適です。
位置情報フィルターで一撃:検索コマンドの活用
拡張機能を使わなくても、X標準の検索機能を活用すればインプレゾンビを大幅に減らせます。
最も効果的なのが、位置情報を使った検索コマンドです。以下のコマンドを検索バーに入力してください。
lang:ja geocode:30.935364,143.317099,1625km
このコマンドの意味は以下の通りです。
- lang:ja – 日本語の投稿のみを表示
- geocode:緯度,経度,距離 – 指定した地点から一定距離内の投稿のみを表示
- 上記の座標と距離は、北海道稚内から沖縄那覇までをカバーする範囲
このコマンドを使うと、海外からのインプレゾンビはほぼ完全に消えます。毎回入力するのは面倒なので、スマホのユーザー辞書に登録しておくと便利です。
また、X公式の検索フィルター機能も活用できます。検索画面右上のフィルターアイコンから「位置情報」→「近い場所のみ」を選択すれば、似た効果が得られます。ただし、毎回設定する必要があるのが難点です。
投稿者側ができる予防策:リプライ制限を活用
自分の投稿にインプレゾンビが湧くのを防ぐには、投稿時のリプライ制限設定が有効です。
Xでは投稿時に、以下の3つからリプライ可能なユーザーを選択できます。
- 全員(デフォルト)
- フォローしているユーザー
- 自分のみまたは「@メンションしたアカウントのみ」
インプレゾンビは投稿直後の初動を狙って湧いてくるため、投稿初動は「@メンションしたアカウントのみ」に設定し、後から「全員」に変更するという対策が一般的です。
また、常に「フォローしているユーザー」に制限することで、無関係なユーザーからのリプライを一律で防げます。リプライ範囲は投稿後も変更可能なので、状況に応じて柔軟に調整できます。
投稿者には、自分の投稿についたリプライを非表示にする権限もあります。非表示にされた投稿はすべてのユーザーから見えなくなるため、インプレゾンビにとって最も重要なインプレッションを稼げなくなります。
インプレゾンビは英語でなんて言う?国際的な呼び方
インプレゾンビは日本特有の現象ではありませんが、英語圏ではあまり定着した呼び方がないのが実情です。
英語では、“Impression Zombie”とそのまま直訳されることが多いです。Wiktionaryにも「インプレゾンビ (inpure zonbi)」として登録されており、英語の説明として “someone who farms for impressions (post views; engagement) on X (formerly Twitter)” と記載されています。
他にも以下のような表現が使われることがあります。
- Engagement bait – エンゲージメントを餌にする行為
- Reply spam – リプライスパム
- Impression farming – インプレッション稼ぎ
- Bot reply spam – Bot による返信スパム
ただし、「インプレゾンビ」という言葉自体が日本のXコミュニティで自然発生的に生まれた造語であり、英語圏では同じ現象を指す統一された呼称はまだ確立されていません。日本ほど深刻な問題になっていないことも一因かもしれません。
うざいインプレゾンビとの向き合い方
正直なところ、インプレゾンビは本当にうざいですよね。でも、完全に根絶するのは現実的に難しい状況です。
現実的な対処法は、前述した複数の対策を組み合わせることです。スマホでは地道にブロックと報告、PCではブラウザ拡張機能を導入、検索時は位置情報フィルターを活用、自分の投稿にはリプライ制限を設定。こうした多層防御が効果的です。
また、X以外のプラットフォームも検討する価値があります。ThreadsやBlueskyなど、新しいSNSではインプレゾンビ問題がまだ深刻化していません。情報発信の場を分散させることで、ストレスを軽減できるかもしれません。
長期的には、X運営側のアルゴリズム改善や収益プログラムの見直しが必要です。2024年5月には、あるユーザーの呼びかけに応えてナイジェリア在住のユーザーが真っ当な投稿を始め、7万超のいいねを集めて「インプレゾンビからインフルエンサーへ」と報じられた事例もありました。収益化プログラム自体は悪いものではなく、悪用を防ぐ仕組みが重要なのです。
まとめ
インプレゾンビ報告は即効性が低いものの、蓄積することでアカウント凍結につながる可能性があります。報告だけでなくブロックを組み合わせ、さらにブラウザ拡張機能や位置情報フィルター、リプライ制限など複数の対策を併用することで、快適なX環境を取り戻せるでしょう。
完全に根絶するのは難しいですが、適切な対策を講じることで被害を最小限に抑えられます。X運営側の本格的な対応を期待しつつ、個人でできる対策を着実に実行していきましょう。
